「ホワイトニングをしたけど、何だか歯が痛いかも・・・」
「ホワイトニング中に歯がしみる・・・」
「ホワイトニングをしたあと、歯がかゆくなる・・・」
20~30代の女性を中心に人気の歯のホワイトニング。
しかし、施術中や施術後に歯が痛くなる、歯がうずく、などの症状がでてしまうことも。
せっかく歯を白くしようとがんばって治療を受けているのに、痛みやしみがでてしまったらやる気も半減してしまいますよね。
そこで今回は、気になる「ホワイトニングの痛み」についてご説明します。
ホワイトニングの痛みの症状
ホワイトニングで起きる痛みには
・施術中に感じるもの
・施術後に感じるもの
の2種類があります。
また、唇や歯ぐきに薬剤が付着したときにも痛むことがあります。
ここでは、それぞれの”痛みの症状”について述べていきます。
ホワイトニング中の痛み
ホワイトニング中に感じる痛みには以下のような症状があります。
・歯がズキっと痛む
・歯がしみるような感覚がある
・歯がうずくように痛む
ホワイトニング後の痛み
ホワイトニングを行ったあとに感じる痛みには以下のような症状があります。
・冷たいものや熱いもの、酸味や甘みが強いものがふれると歯が痛む (知覚過敏のようなキーンとした痛み)
・歯の中がかゆい
・歯がうずくように痛む
施術中に薬剤が唇や歯ぐきにふれてしまったときの痛み
ホワイトニング中に薬剤が唇や歯ぐきにふれた場合、以下のような症状がでることがあります。
・唇や歯ぐきが熱を持ち、ひりひり、ジンジン痛む
・唇や歯ぐきがただれる
・歯ぐきが下がってしまう(歯ぐきの後退現象)
奥歯が痛む場合は?
オフィスホワイトニングでは専用のライトを使って歯の表面に光を照射し、歯を白くします。
この際、奥歯には光が届かないため、オフィスホワイトニングでは奥歯のホワイトニングを行えません。
オフィスホワイトニングの施術中や施術後に奥歯が痛む場合はホワイトニングで発生した痛みではなく、むし歯や歯周病によって痛みがでているおそれがあります。
なお、ホームホワイトニングでは歯全体にホワイトニングジェルを塗るため、奥歯のホワイトニングも行うことが可能です。
しかし、奥歯はエナメル層が厚いため、歯そのものを劇的に白くするのはむずかしいです。
ホームホワイトニングで用いる過酸化尿素はオフィスホワイトニングで使う過酸化水素よりも成分が弱く、痛みがでにくいのが特徴です。
ただ、人によっては通常のオフィスホワイトニングと同様に「歯がズキズキと痛む」「歯がかゆい」「歯がうずく」「歯がしみる」などの症状を感じることがあります。
ホワイトニング中に誤って薬剤を飲んでしまったら?
ホワイトニングでは過酸化水素や過酸化尿素(過酸化水素を弱酸性に弱めたもの)などの過酸化物を用いて治療を行います。
過酸化水素は漂白剤や食器の消毒にも使われており、私たちの生活に身近な成分のひとつです。
もし、薬剤を誤飲しても人の身体に存在している分解酵素カタラーゼにより分解されるため、安全とされています。
※ 酵素がない”無カタラーゼ症”の人はホワイトニングは禁止ですのでご注意を。
ホワイトニングの痛みの原因
ホワイトニングで歯が痛くなるメカニズム
ホワイトニングは過酸化水素や過酸化尿素などの過酸化物を歯のエナメル質や象牙質に浸透させ、歯の中の着色汚れを薬剤の力によって分解、無色化することで歯を白くする治療法です。
このとき、歯の中の汚れを分解するのと同時に歯の神経を刺激する場合があるため、一時的に痛みやしみを感じることがあります。
ホワイトニングを行って、痛み・しみがでる方は約3割ほどといわれています。
レーザーの高温が原因で痛むことも
ホワイトニング中に用いるレーザーには高温の光を照射するものもあります。
高い温度の光を長時間当てていると歯の神経が熱を持ってしまい、施術中や施術後にしみや痛みを感じるケースがあります。
歯の表面にひび割れ(クラック)やむし歯があると痛みを感じやすい
歯はエナメル質という硬い組織に守られており、エナメル質の下にはやわらかい象牙質があります。
象牙質の中心部には歯髄(しずい)があり、歯髄の中には歯の神経が通っています。
食いしばりや歯ぎしりなどが原因で歯にひび割れ(クラック)がある場合、薬剤がひび割れから象牙質の中に入り込みやすくなり、神経を刺激して痛みやしみを感じることがあります。
また、むし歯によって歯の組織に穴が開いているケースでも薬剤が歯の中にしみ込みやすく、痛みを感じやすくなってしまいます。
ホワイトニングで唇や歯ぐき、舌が痛むのはなぜ?
施術中に誤ってホワイトニング剤が唇や歯ぐき、舌にふれてしまった場合、やけどの時のようなひりひりとした痛みやジンジンした痛みを感じることがあります。
これは、ホワイトニング剤にふくまれる過酸化物(過酸化水素や過酸化尿素)が唇や歯ぐき、舌などのやわらかい組織に付着し、炎症が起きているためです。
また、ホワイトニングのときに高温のレーザーを用いた場合、レーザーの光を唇や歯ぐき、舌に長時間当てていると軽いやけどを起こしてしまい、痛みを感じるケースがあります。
ホワイトニングをしたら白い斑点のようなシミができてしまった・・・
ホワイトニングをしたあと、歯の表面に白い斑点のようなシミができることがあります。
これは「ホワイトスポット」と呼ばれ、ホワイトニングを行ったときに一時的に現れる症状です。
ホワイトニングによって発生したホワイトニングスポットは治療を進めるにつれ消えていきます。
もし、ホワイトニング後いつまで経っても白い斑点が消えない場合はむし歯やエナメル質の形成不全症(※1)、フッ素症(※2)による影響などが考えられますので、治療を担当している歯科医師に相談しましょう。
※1エナメル質の形成不全・・・先天性の歯の病気。エナメル質が少ない、歯が欠けている、歯の表面がまだらに白濁するなどの症状が現れる。
※2 フッ素症・・・水道水や歯磨き粉に含まれるフッ化物を過剰に摂取したときに現れる症状。歯の表面に白や茶色の斑点を生じるのが特徴。
ホワイトニングの痛みはいつまで続く?
最大でも48時間(2日間)以内に痛みはおさまります
ホワイトニングで発生した痛みは軽度のものであれば数時間以内に症状がおさまります。
長引いたとしても、おおよそ48時間以内(2日間以内)には痛みがおさまるケースがほとんどです。
ホワイトニング後、3日間以上痛みが続く
ホワイトニング後、3日間以上痛みが継続している場合には歯髄炎など、歯の神経が炎症を起こしている可能性があります。
※ 歯髄炎:歯の中にある「歯髄(歯の神経)」が起こす炎症。
ホワイトニングによって歯髄炎が起こるケースとしては、
①エナメル質にひび割れやむし歯によって開いた穴があり、薬剤が歯髄の深い場所にまで浸透してしまった場合
②エナメル質にひび割れやむし歯の穴がある状態で高温のレーザーを当ててしまい、歯の神経が熱を持ち、炎症を起こしてしまった場合
この2つが考えられます。
唇や歯ぐき、舌の腫れがおさまらない
通常、オフィスホワイトニングでは過酸化水素の濃度が35%前後の成分の強い薬剤を使用します。
このとき、成分の強いホワイトニング剤が唇や歯ぐき、舌などについてしまうとひりひり、ジンジンした軽いやけどのような痛みを感じることがあります。
ホワイトニングの痛みへの対処法
歯の痛みやしみが長引いている場合
もし、ホワイトニング後、48時間以上痛みが継続しているときにはただちに歯科医院で診察を受けてください。
特に、ホワイトニングが原因で歯髄炎を発症した場合、症状が悪化すると歯の神経を抜く抜髄処置を行わなければならなくなることもあります。
唇や歯ぐき、舌の痛みがおさまらない場合
ホワイトニング後に唇や歯ぐき、舌が腫れたり、痛みがおさまらない場合は患部についた薬剤を水でよく洗い流し、すぐに皮膚科で診察を受けてください。
放置していると炎症が起きたり皮膚がただれるなど、症状が悪化するおそれがあります。
ホワイトニングで感じる痛みの対処法について
[歯科医院で行う対処法]
・鎮痛剤の処方
審美歯科ではオフィスホワイトニングを行ったあと、患者さんにロキソニンなどの鎮痛剤を処方します。
ロキソニンについては市販品の痛みどめにもほぼ同じ成分が含まれており、痛みをおさえるのに役立ちます。
ただし、処方された鎮痛剤があるときにはそちらを飲むようにしてください。
オフィスホワイトニング中に感じる痛みが我慢できないようであれば治療を担当している歯科医師に痛みがあることを伝えてください。
あまりにも痛みが強ければ施術の中止、もしくは施術の間隔をあけるなど、それぞれのケースに適した処置を進めていきます。
・唇や歯ぐき、舌などのやわらかい組織の保護
オフィスホワイトニングでは成分の強い薬剤を用いるため、施術前には「ダム」という保護用のレジン樹脂を塗り、唇や歯ぐき、舌や頬などを保護します。
・むし歯の治療、クラックの処置
むし歯がある場合にはむし歯治療したのち、ホワイトニングを進めていきます。
歯の表面にクラックがある場合には前述のダムを使用してひび割れを保護し、ホワイトニング治療を進めます。
・安全性の高いレーザーを使う
ホワイトニングではレーザー照射の際に歯や歯ぐきが熱を持ち、痛みが発生することがあります。
レーザーが原因の歯の痛みを防ぐには「熱を抑制する」「フィルター機能がある」など、安全性の高いレーザーを使うことで痛みが発生しにくくなります。
[自分自身でできる対処法]
・歯を守り、歯質を強化する歯磨き粉を使う
市販品の歯磨き粉の中にはフッ化ナトリウムやCPP-ACPなど、歯質を強化してエナメル層を守る成分がふくまれたものがあります。
これらの成分が含まれた歯磨き粉を毎日のブラッシングのときに使い、歯質を強化することでホワイトニング中に感じる痛みを軽減させる効果を期待できます。
また、ホワイトニング後に知覚過敏が起きたときには市販品のシュミテクトなど、知覚過敏用の歯磨き粉を使うと痛みやしみなどの症状がやわらぐことがあります。
・マウスピースを使ってクラックを防止する
歯ぎしりや食いしばりは歯がひび割れる原因になります。
クラックを防止するにはふだんの生活で意識してクセをやめることが大切です。
就寝中に歯ぎしりや食いしばりをしてしまう場合にはナイトガードなどのマウスピースを使うことで歯のひび割れを防げます。
・ホームホワイトニングでは決められた装着時間を必ず守る
自宅でできるホームホワイトニングは歯科医院に通わずに済む、オフィスホワイトニングと比べて後戻りが少ない、費用が安く済む、など、メリットの多い治療法です。
しかし、ホームホワイトニングでは決められたマウスピースの装着時間をオーバーしてしまうと、歯に痛みやしみを感じやすくなります。
ホームホワイトニングを行うときには定められた装着時間を必ず守るようにしましょう。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングではどっちが痛い?
ホワイトニングをおこなうにあたって、「オフィスホワイトニングとホームホワイトニングではどっちが痛いの?」という疑問がもつかもしれませんね。
オフィスホワイトニングは薬剤濃度が高いものを使っているので、痛み・しみが出やすいとされていますが、歯のクラックや摩耗している痛みがでやすそうな箇所への保護剤塗布などの対策が行えます。
ホームホワイトニングは薬剤濃度が低いもので行いますが、痛みがでやすそうな箇所への対策が出来ない為、しみや痛みがおきてしまう場合があります。
一般的には、オフィスホワイトニングの方がしみ・痛みがでやすいが、痛みへの事前対策、痛みがでた場合の対応が素早くできると考えておいてよいでしょう。
またオフィスホワイトニングでも低濃度の薬剤を使用して、ほとんどしみや痛みがおきないものもあります。
”痛くないホワイトニング”とされているFAPホワイトニング、ミュゼホワイトニングで行われているポリリン酸ホワイトニングといったものです。いずれも濃度を低くおさえてしみないようにしています。
ピレーネホワイトニングは過酸化水素濃度3.6%とホームホワイトニングと変わらない低い濃度でしみや痛みがでないオフィスホワイトニングです。
上記であげたオフィスホワイトニングは薬剤濃度が低い分、歯が白くなるもの1-2段階/1回とゆるやかで希望の白さになるまでに回数がかかります。
ティオンホワイトニングは薬剤濃度23.5%とよく使われる35%に比べて濃度が低いオフィスホワイトニングです。薬剤とライトの組み合わせで効果を発揮し、1回で5-8段階白さあがります。こちらも他のオフィスホワイトニングに比べしみにくいとされています。
オフィスホワイトニングのメリットは短い期間で希望の歯の白さにすることができます。中にはブライトスマイルのように1回で8-10段階あがるオフィスホワイトニングもあります。
ホワイトニングする度の痛みを避けたい場合は”一回だけ痛みを我慢すればよい”ホワイトニングを選ぶのもよいと思います。
痛みを避けたい場合、ホワイトニング以外で歯を白くする方法
「ホワイトニングで感じる痛み」についてご説明をさせていただきました。
オフィスホワイトニングでは高濃度の過酸化水素を使うため、歯の痛みやしみ、施術後の歯のうずきなど、トラブルが発生することもあります。
ホワイトニングで起きる痛みは一過性のためほとんどの場合、数時間で症状は落ち着きます。最大に長引くケースでもおおよそ2日間程度で痛みはおさまります。
しかし、歯にひび割れがあるときや歯髄炎が起きている場合は痛みがでやすく、ジンジンとした痛みやしみる感覚が長引くこともあります。
歯科医院では患者さんが痛みを感じないよう、さまざまな対処法を使って安全に施術を行うことを心がけています。
ただし、患者さんによっては痛みを強く感じる場合もあればほとんど痛みを感じないケースもあり、痛さの度合はさまざまです。
ホワイトニングでどうしても痛みがでる場合には治療の間隔を空ける、過酸化物の濃度が低いホームホワイトニングに切り替える、など、治療の仕方を変えてみるのも対処法の一つです。
それでも痛みがでてガマンできないときには、ラミネートベニアやセラミッククラウン等、ほかの治療に切り替えることもできます。
もし、「ホワイトニングが身体に合わない」と感じたときには無理に続けようとせず、自分に適している方法があるかどうかを治療を担当している歯科医師にたずねてみましょう。