「なんだか最近、歯が黄ばんでいるような気がする」
「ホワイトニング用の歯磨き粉で歯磨きしているのに黄ばみが取れない」
一回、黄ばんでいるなと感じたら、黄ばみが落ちない限りずっと気になるものです。
今回の記事では黄ばみで悩んでいる方に向け、黄ばみの原因とその原因ごとの落とし方について、解説していきたいと思います。
歯の黄ばみの原因は?
歯が黄ばんでいる原因には様々なものがあります。食事など日々の生活や環境によるもの、歯の状態によるものなどが主要因です。ここではそれぞれの原因を述べていきます。
飲食による着色の黄ばみ
私たちは日々をご飯を食べたり、水分をとったりをしています。カレーやトマト系のパスタ、紅茶、コーラなど色の濃いものはその着色物が歯につき、着色汚れ:ステインになります。これは歯表面だけでなく、時間が経つとが歯の内部まで着色物の一部が浸透することで、歯の本来の白さがなくなり、内部からも黄ばんでくることになります。
タバコによる黄ばみ
よく知られているようにタバコにはタール(ヤニ)が含まれています。最近のIQOSなど煙が出ないタバコではタールが含まれる量がかなり少なくなりましたが、それでも含まれていることにはかわりありません。タールは飲食物の着色より、歯につきやすいため、タバコによって黄ばみやすいのはそのためです。こちらも時間経過とともに一部は歯内部にも浸透していきます。
歯石がついていることによる黄ばみ
歯磨きをしっかりしていないと虫歯の原因にもなる歯石が歯にこびり付きます。なお、歯垢:プラークは歯石になる前の状態で、歯石のように硬くなっていないものです。歯石の色は白〜黄色、さらに進むと黒くなってきます。
歯の神経が死んでしまったことによる黄ばみ(変色)
歯をぶつけたりしたり、虫歯の悪化によって歯の神経を抜いたりと歯の神経が死んでしまっているものは、歯が変色しています。一般的には黒っぽくなります。
抗生物質:テトラサイクリンを使用したことによる黄ばみ(変色)
子供の頃にテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことで歯の黄ばみが発生します。主に30〜40代の方が子供であった時によく使用されていたため、この年代に多いです。変色は黄色がかっていたり、グレー系の変色を起こしています。
虫歯による黄ばみ(変色)
虫歯になると歯の色が、白濁した色、茶色みがかった色、黒ずんた色になります。変色は虫歯の状態によって変わります。色が変わっている箇所は以前の虫歯の時に、着色物質が入り込んだ虫歯の跡の場合もあります。
加齢による黄ばみ
年齢を重ねることによって、歯内部の象牙質の色が黄色味を増してきます。黄ばみが起きる時期は40代からが本格的になってきます。これは日本人だけでなく欧米人にもおきます。
金属が溶け出したことによる黄ばみ(変色)
金属の詰め物などから金属が溶け出し、黒ずむことがあります。
差し歯や詰め物の黄ばみ
歯のホワイトニングをした場合、差し歯などホワイトニングできない歯の黄ばみが目立つようになる場合があります。
黄ばんでいると起こりうる様々な問題
歯が黄ばんでいると見た目だけでなく、その黄ばみの原因によっては他の問題を起こすことがあります。黄ばんでいるとどういう影響、問題があるのかを述べていきます。
3〜5歳老けて見える。
アンケートによると歯が黄ばんでいると見た目年齢も老けて見られます。それ以外でも、異性からのイメージダウンや人と会う機会が多い営業職の方などの印象ダウンにもなります。
コミュニケーションなどの低下にもつながる結果もある
歯が白い人は人付き合いが得意、コミニュケーション能力が高く、自分に自信を持っている人が多い傾向にあります。逆に黄ばんでいると人付き合いが下手、つまり、コミニュケーションが苦手という人が多いアンケート結果にもなっています。
歯石の付着による黄ばみだと虫歯になりやすい
歯石は歯垢:プラークが固まったものです。そもそも、プラークは細菌の塊ですので、その中には虫歯の菌もいることになります。放置しておくと虫歯や歯周病が発生したり、進んでしまう原因になります。
原因ごとの黄ばみの取り方
歯の黄ばみは歯表面の黄ばみと歯内部の黄ばみ、その2つに大きく分けられます。この項ではそれぞれに応じた黄ばみの取り方について説明していきます。
歯表面の着色による黄ばみ
歯表面の黄ばみには歯そのものを白くする過酸化水素または過酸化尿素を含んだ薬剤を使わずに、その他の歯表面の汚れを除去する成分を使用します。
①飲食による歯表面の黄ばみ
・ホワイトニング用歯磨き粉
歯磨き粉の中に入っている成分で着色汚れ:ステインをおとします。具体的には
アルカリ性の粒子により汚れを除去する:ルシェロホワイト
汚れ分解酵素:カルプロックスにより汚れを除去する:スーパースマイル
ピロリン酸ナトリウムで汚れを浮かせて除去する:ブリリアントモア
などがあります。
ここで、ご紹介した歯磨き粉はいずれも研磨剤が配合されていますが、細かい粒子で歯の表面を傷つけることのないものを配合し、研磨剤が浮かせた汚れをかき出す役割をすることでおとします。ただし、歯ブラシで強く磨いてしまうと歯の表面を傷つけ、着色がつきやすくなるので気をつけましょう。
・ホワイトニングジェル
ジェルに含まれる成分により着色汚れを浮かせ、除去します。研磨剤は含まれていないので、浮かせた汚れをブラッシングで除去します。
使用方法は歯磨きをした後、ジェルを歯ブラシにつけてブラッシングを行います。通常の歯磨きとしても利用できます。
ホワイトニングジェルとして代表的なものに
パパイン酵素で汚れを除去する:ブラントゥース
ポリアスパラギン酸で汚れを除去する:薬用 ちゅらトゥースホワイトニング
ポリリン酸/メタリン酸 ナトリウム+パパイン酵素で汚れを除去する:はははのは
などがあります。
・ホワイトニングサロン/バー
医療機関でないサロン/バーでは、歯そのものを白くする過酸化物が含まれた薬剤は使用できない為、酸化チタン、ポリリン酸などを含んだ専用のホワイトニング剤とLEDライトにより、歯表面の汚れを除去します。
・ホワイトニングキット
市販のホワイトニングキットで国内製品のものは、過酸化物が含まれた薬剤は使用できない為、ホワイトニング剤と小型LEDライトにより、歯表面の汚れを除去します。国内製品として代表的なものに酸化チタンを含んだホワイトニング剤を使用するホワイトニングキット:ビースマイルがあります。
海外製のものでも過酸化物を含まない HiSmile:ハイスマイルがあります。
使用方法はセットで付属されているマウスピースにホワイトニング剤を塗布し、10〜30分の一定時間、口にくわえて行います。
② タバコによる歯表面の黄ばみ
・ホワイトニング歯磨き粉
タバコのヤニ(タール)を溶かし、除去する成分が含まれたもので溶かし、分解します。代表的なアイテムとしてポリエチレングリコールを含んだ「ルシェロホワイト」、「アパガード スモーキン」があります。
・歯科医院での歯のクリーニング
歯磨きでは落ちないヤニを、歯科医院で専用の器具・研磨剤を使って歯の表面を研磨し、除去します。仕上げの研磨により、歯の表面を滑らかにし、汚れがつきにくくします。
③ 歯石がついていることによる黄ばみ
・歯科医院でのクリーニングによる除去
歯石は通常の歯磨きでは落ちないので歯科医でのヤニ取り同様、クリーニングで落とします。歯と歯の間の歯石ができやすい箇所には専用器具:スケーラーを使ってスケーリング行い、歯のクリーニングをしていきます。
歯内部の黄ばみ
歯内部の黄ばみは過酸化水素か過酸化尿素を含んだ薬剤を用いて黄ばみの着色成分を分解、無色化により黄ばみをなくしていきます。
飲食、タバコで歯内部に着色が浸透したことに黄ばみ
飲食やタバコによる黄ばみは基本的に歯の表面におこりますが、そのうちの一部は時間経過とともに歯内部に入り込み黄ばみの原因となります。このような黄ばみをなくす方法には以下のようなものがあります。
・歯科医院でのオフィスホワイトニング
一般的に高濃度(10~35%)の過酸化水素を含んだ薬剤を歯に塗布し、ライトを一定時間当てることで、薬剤から生成された成分が歯内部に浸透し、黄ばみ(着色)をなくします。
・歯科医指導のもとによるホームホワイトニング
過酸化尿素を含んだ低濃度の薬剤を専用のマウスピースに塗布し、一定時間装着することで、歯内部の黄ばみを徐々になくしていきます。通常、2週間〜1ヶ月ほど、毎日行います。
ホワイトニング前の準備として、歯型にあったマウスピースを作成し行います。
※国内ではホームホワイトニングに使う薬剤として、10%の過酸化尿素(過酸化水素濃度:3.6%)のみが認可されているため、濃度が低くなっています。(自宅で行うため、安全面を考慮しているためです)
・薬剤を購入して自身で行うセルフホワイトニング
海外製の過酸化物を含んだ製品を購入して、歯内部の黄ばみをなくします。歯磨き粉タイプのもの/歯に貼り付けるシールタイプのもの/マウスピースにジェルを塗布しライトを当てるものなどがあります。
上で紹介した2つの方法と異なり歯科医の指導のもとでなく、ご自身で行うため、過酸化物による痛み・知覚過敏が起こした場合は注意が必要です。
④ 歯の神経が死んでしまったことによる黄ばみ(変色)
神経がなく変色した歯を白くするには歯の一部に穴を開け、そこから薬剤を入れることで黄ばみ(変色) を白くするインターナルブリーチという方法で行います。
⑤ 抗生物質:テトラサイクリンを使用したことによる黄ばみ
濃い変色でなければ、オフィスホワイトニングにより黄ばみをなくし白くしていきます。変色が濃い場合は、ホワイトニングでは白くならないため、歯の表面に薄い樹脂を貼るラミネートベニアなどで歯を白くします。
⑥ 虫歯による黄ばみ(変色)
虫歯の後に着色物質が入ったための黄ばみであれば、過酸化物を使ったホワイトニングで黄ばみをおとすことができます。虫歯によって変色している場合は基本的に歯を削り、詰め物をすることで変色をなくします。
⑦ 加齢による黄ばみ
加齢とともに象牙質の黄ばみの進行はシェードガイドで数段階です。この黄ばみは過酸化物を使ったホワイトニングで象牙質の着色物質を分解、無色化することで黄ばみをなくすことができます。
加齢による黄ばみが起きていない若い年代の方に比べると黄ばみをおとすまで時間がかかります。
⑧ 金属が溶け出したことによる黄ばみ(変色)
ホワイトニングでは落とすことができないので、変色を落とす場合は削っておとします。なお、歯茎が変色している場合は、薬やレーザーで変色を除去するガムピーリングを行います。
こういう黄ばみの落とし方はNG!
・強い酸で歯を磨く
酸で磨くとエナメル質が溶け出すことで一時的に白くなりますが、虫歯と同じような症状になっていることになりますので危険です。(虫歯は歯が酸で溶け出すことで起こります)虫歯の原因にもなってしまうので、行わないでください。
・研磨剤入りの歯磨き粉を使用して強く磨きすぎない
研磨剤入りの歯磨き粉の使用は研磨剤の目が細かいものであれば、着色汚れをかき出す効果があります。ただし、歯ブラシで強く磨きすぎると歯の表面を傷付けることになり、かえってその部分に着色汚れがつきやすくなってしまいます。ブラッシングは歯に歯ブラシを軽く当てる程度で行いましょう。
・塩や重曹で歯を磨かない
塩や重曹は粒子が粗いため、歯磨きを行うとやはり歯の表面に傷がつき、着色汚れがつきやすくなってしまいます。
黄ばみのない歯をキープするには?
歯表面の白さをキープするには
ホワイトニング用歯磨き粉
ポリエチレングリコールやパパイン酵素など歯表面の着色汚れを落とす成分を含んだもの:ルシェロホワイト、ブラントウース、スーパースマイルなど
歯の再石灰化をうながし、歯表面の状態を綺麗にすることで歯につく着色を防ぐもの(ハイドロキシアパタイトが含まれたもの):アパガードリナメル
などのホワイトニング用歯磨き粉で着色を防いでいきます。
歯磨き時に歯を強く磨かない
歯磨き時にブラシで強く磨いてしまうと歯の表面を傷つけてしまうことになります。表面に傷がつくとそこに着色汚れがつきやすくなるので、歯ブラシを軽く歯に当て磨くようなブラッシングで傷がつかないように防ぎます。
定期的な歯科医でのクリーニング
クリーニングにより歯磨きでは取れない着色汚れ(ステイン)、歯石をおとします。なお、歯科医でのクリーニングは場合によっては保険適用で受けられます。(歯周病がある場合)
飲食前・タバコ前は歯を水分で湿らしておく
歯は乾燥していると着色がつきやすいので、色の濃い飲食の前やタバコ前に水、水がない場合は唾液で歯を湿らせておくことで水分で歯がコーティングされ、着色がつきにくくすることができます。
飲食後・タバコ後は口をゆすぐ、ブラッシングする
色の濃い飲食物・タバコは着色の原因となることを説明しましたが、なかなかそういったものを控えるのも難しいものと思います。
色の濃い飲食・タバコ後はなるべく早くブラッシングを行う又は口をゆすぐことで、歯への着色を防ぎます。
歯内面の白さをキープするには
再ホワイトニングを行う
歯内部の着色は個人差もありますが、3ヶ月〜6ヶ月後ぐらいから色の後戻りが起き始めます。よって、再ホワイトニング(タッチアップ)を行うことで白さをキープします。その際は、初めのホワイトニングと違って数段階程度の色の後戻りですので、基本1回のホワイトニングとなります。
虫歯を防ぐための歯磨き
虫歯になると歯内部に変色が起きますので、磨き残しがないよう歯磨きをしっかり行うことで防ぎます。
まとめ
ここでは
・歯の黄ばみは大きく歯表面の黄ばみ、歯内部の黄ばみの2通りがある
・黄ばみのおとし方は歯表面では”ステイン(着色汚れ)を落とす成分”で、歯内部では”過酸化物を含んだ薬剤”でおこなう。
・黄ばみの落とし方でNGな方法は”強い酸で磨く”、”強く磨きすぎない”、”重曹など粒子の粗いもので磨かない”
・歯の黄ばみをおとした後、白さをキープする方法は歯表面と歯内部で違いがある。
について説明してきました。
歯の黄ばみが気になる場合、黄ばみの原因をしっかりつかんで、それにあった黄ばみを除去する方法で黄ばみをなくし、白さをキープしていきましょう。また、黄ばみの原因がわからない場合は、歯科医に相談することをおすすめします。