[著者情報]
この記事を書いた人:西園寺 誠 (Makoto Saionji)歯科医院経営コンサルタント / ファイナンシャルプランナー (CFP)全国の歯科医院の「患者さんが無理なく払える分割プラン」の設計を支援。自身も30代で矯正を経験し、医療費控除で10万円以上還付された経験を持つ。「矯正は高い買い物だが、知識があれば『無駄なコスト(金利)』はゼロにできる」と説く、冷静かつ頼れるお金のプロフェッショナル。
「矯正したいけど100万円一括は無理。でも、デンタルローンで高い金利を払うのも絶対に嫌…。」
そんなジレンマを抱えて、スマホの画面とにらめっこしていませんか?
「頭金なし」という甘い言葉に惹かれつつも、心のどこかで「本当にこれでいいの?」とブレーキがかかっている。その感覚は正しいです。
実は、あなたの手元にある「30万円」の貯金こそが、最も賢く矯正を始めるための鍵です。
この記事では、ファイナンシャルプランナーの視点から、金利手数料をゼロにし、月々の支払いを無理なく抑える「院内分割」の活用術を伝授します。知識があれば、無駄なコストはゼロにできます。賢い資金計画で、自信を持って自分への投資をスタートさせましょう。
「頭金なし」の甘い罠。デンタルローンであなたが失う「10万円」の正体
「月々3,000円から」という広告を見て、安易にデンタルローンを組もうとしていませんか?ちょっと待ってください。安易なデンタルローン契約、完済する頃には高級ブランドバッグが一つ買えるほどの金利を払うことになりますよ。
目先の安さに隠された「金利手数料」というコスト
デンタルローンは、手元資金がなくてもすぐに治療を始められる便利な仕組みですが、そこには必ず「金利手数料」が発生します。例えば、治療費80万円を年利5%で5年(60回)払いにする場合、金利手数料だけで約10万円を支払うことになります。
10万円あれば、何ができるでしょうか?
矯正完了後のホワイトニング、自分へのご褒美の旅行、あるいは欲しかった美容家電。これらを全て諦めて、ただ「分割させてもらうためだけ」に金融機関へ支払うのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「月々の支払額」だけでなく、必ず「総支払額」を確認してください。
なぜなら、多くの人が「月々いくらか」に気を取られ、完済までに支払う「金利の総額」を見落としがちだからです。契約書にサインする前に、電卓を叩く習慣をつけましょう。この一手間が、あなたの資産を守ります。
貯金30万円がパスポート!金利0円の「院内分割」という最強の選択肢
では、金利を払わずに分割払いをするにはどうすればいいのでしょうか?
そこで登場するのが、「院内分割(窓口分割)」という選択肢です。
院内分割とデンタルローンの決定的な違い
院内分割とは、信販会社を通さず、クリニックに直接分割で支払う方法です。これに対し、デンタルローンは信販会社にお金を借りて支払う方法です。院内分割とデンタルローンはよく比較されますが、最大の違いは「金利の有無」と「審査の厳しさ」にあります。
多くのクリニックでは、院内分割の手数料を「無料(金利0円)」に設定しています。しかし、クリニック側には「未回収リスク」があるため、誰でも利用できるわけではありません。そこで重要になるのが、あなたの手元にある「30万円」です。
なぜ「頭金」が必要なのか?
頭金(30万円)と金利手数料は、トレードオフの関係にあります。
クリニックにとって、最初にまとまった頭金を受け取ることは、患者さんの支払い能力と意思を確認する「信用の証」となります。
また、頭金を支払うことで残りの支払い総額が減り、分割回数が少なくても(通常24回以内)、月々の負担を抑えることが可能になります。
つまり、あなたの30万円は、単なる支払いの一部ではなく、「金利0円の院内分割」という特権を手に入れるためのパスポートなのです。
【シミュレーション】頭金30万円なら月々いくら?無理なく払える現実的なプラン
「でも、2年(24回)で払い切れるか不安…」
そう思うかもしれません。しかし、頭金を活用すれば、月々の支払いは驚くほど現実的な金額になります。
総額80万円・頭金30万円の場合
ここでは、一般的な矯正費用である総額80万円を例に、頭金ありの院内分割と頭金なしのデンタルローンを比較シミュレーションしてみましょう。
【パターン別支払いシミュレーション(総額80万円の場合)】
| 項目 | プランA:院内分割(推奨) | プランB:デンタルローン |
| 頭金 | 300,000円 | 0円 |
| 分割回数 | 24回(2年) | 60回(5年) |
| 金利手数料 | 0円 | 約95,000円(年利4.5%想定) |
| 月々の支払い | 約20,800円 | 約15,000円 |
| 総支払額 | 800,000円 | 約895,000円 |
| メリット | 金利ゼロ、2年で完済 | 初期費用ゼロ、月々が安い |
| デメリット | 最初にまとまったお金が必要 | 総額が約10万円高い、支払いが5年続く |
いかがでしょうか?
プランA(院内分割)なら、月々の支払いは約20,800円です。これなら、あなたの希望である「月3万円以内」に十分に収まります。
しかも、無駄な金利は一切払わず、治療が終わる頃(約2年後)には支払いも完了しています。
さらに、ボーナス月に少し多めに支払う設定ができれば、月々の負担を1万円台に下げることも可能です。
失敗しないクリニック選び。「院内分割」対応医院を見極める3つのチェックポイント
院内分割のメリットは理解できても、全てのクリニックがこの条件で対応しているわけではありません。実際にクリニックを探す際は、以下の3つのポイントをチェックしてください。
1. HPの料金表で「院内分割(無金利)」を探す
まずはクリニックのホームページを確認しましょう。「料金表」や「お支払い方法」のページに、「院内分割」「窓口分割」「無金利分割」といった記載があるかを探します。「デンタルローン」しか書かれていない場合は、院内分割に対応していない可能性があります。
2. 分割回数の上限を確認する
院内分割は、治療期間に合わせて支払い期間を設定するのが一般的です。そのため、「24回払い」や「2年以内」を上限としているケースが多いです。
中には「60回まで無金利」という太っ腹な医院もありますが、まずは24回でシミュレーションして無理がないかを確認しましょう。
3. カウンセリングで「頭金30万円」を提示して交渉する
これが最も重要です。無料カウンセリングの場で、「頭金として30万円用意できます。残金を院内分割で支払いたいのですが、どのようなプランになりますか?」と具体的に相談してください。
クリニック側も、支払い計画がしっかりしている患者さんは歓迎します。HPに詳細がなくても、相談すれば柔軟に対応してくれるケースは多々あります。
ただし、契約時には『中途解約時の返金規定』もしっかり確認し、書面で残すことを忘れないでください。
よくある質問:審査や保証人は?「実質無料」の怪しい勧誘には要注意
最後に、院内分割を利用するにあたってよくある不安や、絶対に避けるべきリスクについてお答えします。
Q. 院内分割に審査はありますか?
A. 信販会社のような厳しい審査はありませんが、医院独自の確認はあります。
院内分割はクリニックとの直接契約なので、信用情報の照会(ブラックリストの確認など)は行われないことが一般的です。その代わり、勤務先や勤続年数、そして何より「頭金の有無」が信用の判断材料になります。
Q. 保証人は必要ですか?
A. 未成年や学生の場合は親御さんの保証が必要なケースが多いです。
社会人の場合でも、医院によっては連帯保証人を求められることがあります。カウンセリング時に確認しましょう。
Q. 「モニターで実質無料」という広告を見ましたが…?
A. 絶対に手を出さないでください。それは詐欺のリスクが高いです。
「SNSで宣伝すれば治療費が無料になる」「報酬でローンが払える」といった勧誘に乗り、高額なローン契約を結ばされた結果、報酬が支払われずに借金だけが残るというトラブルが多発しています。
モニター商法と正規の治療契約は全く別物です。「うまい話には裏がある」と心得て、リスクを回避してください。
「歯科矯正のモニターになれば治療費が実質無料になる」などと勧誘され、高額なローン契約をしたが、業者と連絡が取れなくなったという相談が寄せられています。出典: [「歯科矯正『実質無料』トラブル」](https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220815_1.html) – 国民生活センター, 2022年8月15日
賢い資金計画は、美しい歯並びへの第一歩
「お金が足りないから…」と諦めたり、安易なローンで損をしたりする必要はありません。
知識は武器になります。
あなたの手元にある30万円を賢く使えば、金利という無駄なコストを払うことなく、自信を持って矯正治療をスタートできます。それは単なる節約ではなく、「自分の人生を自分でコントロールする」という自信にも繋がるはずです。
まずは、近くのクリニックのホームページで「院内分割」をチェックし、無料カウンセリングで「頭金30万円」のシミュレーションを出してもらいましょう。
その一歩が、あなたの未来の笑顔を作ります。
[参考文献リスト]


