歯が白くなった自分を思い描いて、いざホワイトニング
「確かに白くなったけど、翌日ズキズキ痛む! 仕事どころじゃない、車の運転にままならない・・・」
そんな状態になったら、「どうすればいいの?」、「はやく痛みを解消したい」と思いますよね。
ここでは、歯が痛い・しみた時の対処法について説明していきたいと思います。
ホワイトニング翌日 ”痛くなった”、”しみた”ときの対処法は?
知覚過敏用の歯磨き粉・ペーストを使用する
”シュミテクト”、”システマ センシティブ”、”メルサージュ ヒスケア”などの知覚過敏予防の歯磨き粉には”硝酸カリウム”という成分が含まれています。
硝酸カリウムは口の中でカリウムイオンとなりホワイトニングの薬剤で過敏になっている神経の動きをおさえます。その作用により、痛み・しみ止めの効果があります。
また、知覚過敏などの痛み・しみを抑制するペースト(塗布剤)が市販されています。これにはCCP-ACP(”リカルデント”とよばれている)成分が含まれており、歯の再石灰化をうながします。
再石灰化することで、歯の表面を保護し、痛み・しみ止めの効果があります。使用方法はペーストを患部に塗ります。夜は歯磨き後、ペーストを塗ってそのまま就寝といった形で使うのがよいでしょう。
知覚過敏用の歯磨き粉にはフッ素も含まれており、フッ素はCCP-ACPの働きを高める効果もあるので、併用するとより効果的になります。
冷たい・熱い飲食物を避ける
冷たいもの・熱いものはその温度が歯の表面のエナメル質を通して象牙質⇒神経までとどきます。冷たいアイスを食べたときに歯がしみるのはその冷たさが歯の表面から神経に伝わるからです。
神経はホワイトニングの薬剤で過敏になっていますので、冷たいもの・熱いものを飲食した時に”痛い”、”しみる”が起きやすくなっていますので、避けるようにしましょう。
痛みどめを服用する。
歯科医院のもとのホワイトニングではロキソニンなどの″痛み止め”があらかじめ処方されているかもしれません。痛みが我慢できないときは、処方された痛み止めや市販の鎮痛剤を服用してください。
歯科医で詰め物(充填剤)の処置をしてもらう
歯の根元がエナメル質でなく、黄色い象牙質がでている”くさび(楔)状欠損”や歯が欠けている場合、そこから薬剤が内部に入り込み、神経までとどき、痛み・しみを起こしやすくなっています。
歯科医院で詰め物(レジンなどの充填剤)の処置を行ってもらいましょう。
歯ぐきに薬剤がついて痛くなった場合は?
歯でなくホワイトニング薬剤が歯ぐきについて痛くなってしまった場合、その部分は白く変色しピリピリした痛みがでます。その場合、ビタミンEが入った口内用の軟膏を塗布します。市販品でビタミンE入りの口内用軟膏として、佐藤製薬の”サトウ口内軟膏”などがあります。
痛み・しみの原因は?どれくらい続くの?その他のリスクは?
・原因はホワイトニングの薬剤が歯の神経を刺激する場合がある為
ホワイトニングが痛み・しみをおこす原因は、ホワイトニング薬剤に含まれる過酸化水素が口の中でフリーラジカルという物質になり、それが象牙質まで達し、歯の神経を刺激するためです。
このフリーラジカルは歯の表面の非常に小さな孔から歯内部に浸透し、歯の内部の着色物質を分解することで歯を白くしています。ホワイトニングした方で、痛み・しみが発生する割合は約3割ほどといわれています。
薬剤には過酸化水素でなく、過酸化尿素が含まれているものもあります。過酸化尿素は口の中で、過酸化水素と尿素に変わります。薬剤の濃度としては過酸化尿素:12%だった場合、過酸化水素濃度としては約1/3の3.6%となります。
・通常は数時間~2日間ほどで痛み・しみはおさまります
理由はホワイトニングの薬剤が活発に動く時間が、一般的にホワイトニング後、2日(48時間)ほどといわれているためです。
たいていの場合、その期間で痛み・しみはおさまります。
・2日以上経っても痛み・しみが収まらない場合は歯科医院に相談しましょう
長期間、痛み・しみが続く場合、神経が炎症(”歯髄炎”といいます)を起こしてしまっている可能性があります。炎症がひどい場合、そのまま炎症が治らず、最悪は神経をとる処置をしなければならない場合もあります。
痛み・しみが長く続く場合は、速やかに歯科医院での診察をうけてください。
・ホワイトニングはその他、歯へのリスクはありません。
薬剤によって痛みやしみがおきる場合があるホワイトニングですが、その他、歯が弱くなったりなど悪影響を及ぼすことはありません。フリーラジカルは着色物質(有機質)に作用し、エナメル質(無機質が多い)には害はないと考えられているからです。
そして、最近ではホワイトニングが歯を強くする作用、虫歯予防につながることが報告されています。(引用:みんなが知りたいホワイトニングQ&A)
そもそも痛い・しみやすい人はどんな人?
ホワイトニングが痛み・しみをおこす原因は、ホワイトニング薬剤から生じたフリーラジカルが歯の神経まで達することで発生する場合があるとお伝えしました。
つまり、痛み・しみやすい人は”神経にフリーラジカルが届きやすい状態になっている方”ということになりますので、以下でどんな症状をお持ちの方かを解説していきます。
むし歯がある方
むし歯があると、虫歯箇所のエナメル質が解けている分、歯の内部にフリーラジカルが届きやすくなるため、痛み・しみを起こしやすくなります。
特に”歯がすでに痛い”かたは虫歯が歯の神経を刺激しているので、なおさらです。
歯ぎしりをする方
歯ぎしりをする方は歯に余計な力がかかっている為、歯のひび割れ・摩耗や歯と歯茎の間に象牙質が露出する”くさび(楔)状欠損”になっている可能性があり、その部分からフリーラジカルが歯の神経に達しやすくなります。
歯が摩耗している方
摩耗の原因は上記の歯ぎしりに加え、加齢によるものもあります。摩耗している箇所からフリーラジカルが浸透しやすい状態になっています。
痛い・しみた人の次回に向けた予防策
前回のホワイトニングで、「ズキズキ痛かった」「しみた~」という方は、「次回も痛かったり、しみたりしたらいやだな」と不安・心配ですね。
そういった方およびもともと痛み・しみやすい方にむけ、予防策を説明していきたいと思います。
知覚過敏用の歯磨き粉・ペーストを一定期間、定期的に塗布する
痛くなったときの対処法でも出てきましたが、ホワイトニングの2~3週間前あたりから、知覚過敏用の歯磨き粉を使用しての歯磨き、ペーストを就寝前などに毎日塗布します。
薬剤濃度が低いホワイトニング剤を使用する
薬剤の濃度を低くすることで、痛み・しみがでる可能性を減らします。痛み・しみがでにくいオフィスホワイトニングとしてピレーネ(過酸化水素濃度:3.6%)があります。
歯科医院指導のもとで行うホームホワイトニングも、厚生省で認可されている薬剤が過酸化尿素10%(過酸化水素濃度 3.6%)の低濃度となるので、痛み・しみがでにくくなります。
ただし、低濃度なので歯が希望の白さになるまでの期間は延び、複数回のホワイトニングが必要です。
反対に”しみやすい”といわれているホワイトニングとして ズーム(zoom)、ビヨンド、オパールエッセンスブースト、ブライトホワイト2があります。歯科医院ごとであつかっている薬剤が違いますので、相談をしてみましょう。
しみ止め効果の成分が含まれた薬剤を使用する
”FAPホワイトニング”とよばれるホワイトニングには、薬剤にフッ素とアパタイトという成分が含まれており、痛み・しみ止めの効果があります。但し、過酸化水素濃度も低く設定されている為、希望の白さにするには回数をかけて行うホワイトニングとなります。
ホワイトニング直前に知覚過敏を抑制するものを塗布する
フッ化ナトリウム、硝酸カリウム、シュウ酸カリウムなどの知覚過敏抑制効果のあるものを塗布します。
歯のクラック・割れ箇所に保護材を塗布する、ホワイトニング薬剤の塗布をさける
薬剤を塗布する直前の処置として、歯のクラック・割れ部分に、歯ぐきに薬剤が付かないようにするために使われる保護材を塗布し、薬剤の侵入を防ぎます。また、ホワイトニング時に、該当部分に薬剤を塗らないことで防止します。
歯の治療後にホワイトニングする
むし歯がある場合は、基本的に治療後ホワイトニングを行います。先に歯に白い詰め物(充填剤)をすることになり、詰め物の白さがホワイトニング後の歯の白さとの違いを極力避けるため、白さについてはかかりつけの歯科医院と相談しながら行いましょう。そのため、場合によってはホワイトニング後に詰め物をすることもあります。
また、治療直後のホワイトニングはフリーラジカルが詰め物の接着剤に影響すると考えれらている為、10日以上空けてからホワイトニングをします。(引用:みんなが知りたいホワイトニングQ&A)
歯茎につかないようにする対策は?
オフィスホワイトニングでは歯茎に薬剤がつかないように保護材を塗布し、保護します。ホームホワイトニングでは、マウスピースが歯茎につかないように形状をカットし、つくのを防ぎます。
まとめ
ここではホワイトニング翌日に痛くなった場合の対処法、痛みの原因・どのくらい痛みが続くか、痛くなりやすい人、次回のホワイトニングに向けた予防策について説明してきました。
歯を美しく白くするホワイトニングは”痛みを我慢しておこなうもの”ではないと思います。ここで述べたように前もって痛くならない方法は多くありますので、痛みなく快適にホワイトニングをしていきましょう。