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ホワイトニング以外で歯を白くする セラミックとは?

ホワイトニング以外で歯を白く方法

「汚れがひどく、ホワイトニングで歯を白くできなかった・・・」

「ホワイトニングでしみや痛みを感じる・・・」

「ホワイトニング以外に歯を白くする方法って、あるのかな?」

過酸化水素や過酸化尿素など、過酸化物を使って歯を白くするホワイトニング。

最近では20~30代の女性を中心に人気が高まっています。

しかし、ホワイトニングは薬剤の成分の影響により施術中や施術後にしみや痛みを感じる場合があるほか、妊婦さんや無カタラーゼ症の方(過酸化物を体内で分解できない)には施術を行うことができません。

また、歯の着色がひどい場合にはホワイトニングで歯を白くできないケースもあります。

そんなホワイトニングに代わって、現在、注目が集まっているのが「セラミック治療」です。

セラミック治療とは、すべての素材が陶器からできているセラミッククラウン/インレーを使い、歯を白くする方法です。

セラミック治療はホワイトニングで白くできない歯でも白くすることができます。

見た目も天然の歯とほとんど変わらず、審美性に優れているのが特徴です。

今回はホワイトニング以外で歯を白くできる「セラミック治療」についてご紹介いたします。

 セラミックとは?どんな種類がある?

この章では

・セラミックとは?セラミックの種類は?

・セラミックインレーとは?

・セラミックとインプラントとの違いは

について解説していきます。

セラミックとは?セラミックの種類は?

◎陶器からできた詰め物やかぶせ物を使って治療を行います

セラミック治療とは、すべての素材が陶器からできているセラミッククラウン(かぶせ物)セラミックインレー(詰め物)を使い、歯を白くする審美治療です。

セラミッククラウンはかぶせ物の治療のため、ホワイトニングで白くできない歯でも白くすることができます。

また、セラミック製のクラウンをかぶせることにより、前歯の軽度な歯並びの乱れであればセラミック治療で改善できます。(これを「セラミック矯正」と呼びます)

ぎらぎら光って見た目が悪く金属アレルギーの原因になる銀歯に対し、陶器製のセラミックは見た目が自然で美しく、金属アレルギーも起こさないのがメリットです。

最近では「身体にやさしい素材」として、銀歯からセラミッククラウンやセラミックインレーに変える人が増えています。

[セラミッククラウン(かぶせ物)の種類]

現在、歯科治療で用いるセラミックはかぶせ物や詰め物すべてがセラミックでできている「オールセラミック」が主流となっています。

オールセラミックの素材には酸化アルミニウムからできたアルミナや人工ダイヤモンドから作られた強度の高いジルコニアのほか、丈夫なガラスでできており、しなやかさがあるe.max(イーマックス)などがあります。

今ではこの3つをベースにしてさまざまな種類のセラミックが作られ、審美治療で使われています。

審美歯科で用いる代表的なセラミッククラウンには、以下のようなものがあります。

①オールセラミック(アルミナ+ポーセレン)

費用:1本あたり約12万円前後

硬さ(曲げ強度※1):アルミナ 400~700Mpa、ポーセレン 50~100Mpa

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★★★ ★★★★ ★★★★★

オールセラミッククラウンとは、酸化アルミニウムからできたアルミナで土台部分(内側)を作り、外側にポーセレンと呼ばれる歯科用の陶器を焼きつけてあるセラミッククラウンです。

歯科治療で「オールセラミック」と言うときには通常、この「アルミナが土台で外側がポーセレン」のかぶせ物を指します。

丈夫で自然な色を再現可能なアルミナとなめらかな質感を持つポーセレンでできているため、天然の歯に近い見た目を再現できます。

審美治療では主に前歯に使用することが多いです。

○メリット

・なめらかなツヤと質感があり、天然の歯と変わらない美しさがある

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・レジン(保険治療で用いるプラスチック樹脂)のような変色・劣化を起こしにくい

・金属の溶けだしによる歯ぐきの黒ずみを起こさない

・非金属のため、金属アレルギーの心配がない

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・銀歯などの金属より強度面で劣る(銀歯の強度は約1,200Mpa)ため、強い衝撃がかかると欠けたり割れることがある

・土台部分が天然の歯(歯のエナメル質の強度は約400Mpa)よりも硬く、かみ合わせ部分の歯を痛めることがある

(※1 曲げ強度・・・素材に圧力をかけて曲げ、破折するまでの応力(強さ)の値。圧力を示す単位はMpa(メガパスカル)。)

②ジルコニアオールセラミック(ジルコニア+ポーセレン)

費用:1本あたり約12万円前後

硬さ:ジルコニア 900~1,200Mpa、ポーセレン 50~100Mpa

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

ジルコニアオールセラミックとは、人工ダイヤモンドからできたジルコニアで土台を作り、外側にポーセレンを焼きつけてあるセラミッククラウンです。

ジルコニアは非常に透明度が高く自然の歯もしくはそれ以上の美しさを再現できます。

耐久性の面でもジルコニアはアルミナの2倍程度の強度を持つため、欠けや割れなどの破損トラブルを起こしにくいのがメリットです。

○メリット

・透明感に優れており、天然の歯と変わらない美しさがある

・硬く強度があり(アルミナの2倍程度の硬さ)、耐久性に優れている

・前歯、奥歯どちらにもオールラウンドに使うことができる

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・レジンのような変色・劣化を起こしにくい

・金属の溶けだしによる歯ぐきの黒ずみを起こさない

・非金属のため、金属アレルギーの心配がない

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・銀歯などの金属より強度面で劣る(特に外側のポーセレン部分)ため、強い衝撃がかかると欠けたり割れることがある

・天然の歯よりも硬く、かみ合わせ部分の歯を痛めることがある
 
③e.max(ガラスセラミック)

費用:1本あたり約7~10万円前後

硬さ: 360~400Mpa

 

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★★★ ★★★★ ★★★★★

 

e.maxとは、「エンプレス・マックス」の略で、二ケイ酸リチウムガラスという素材から作られているセラミッククラウンです。

ガラスと聞くと「もろいのでは」と感じてしまいますが、二ケイ酸リチウムガラスは柔軟性に優れしなやかさがあり、耐久性も従来のセラミックであるポーセレンの4倍以上の強度があります。

ジルコニアが透明度と強度に特化しているのに対し、ガラスセラミックのe.maxは柔軟性が高く、ジルコニアセラミックよりもかみ合わせ部分の歯を痛めにくいというメリットがあります。

○メリット

・透明感があり、天然の歯に近い白さを再現できる

・素材にしなやかさがあるため耐久性に優れており、ジルコニアと比べてかみ合わせ部分の歯を痛めにくい

・前歯、奥歯どちらにもオールラウンドに使うことができる

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・レジンのような変色・劣化を起こしにくい

・金属の溶けだしよる歯ぐきの黒ずみを起こさない

・非金属のため、金属アレルギーの心配がない

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・銀歯などの金属やジルコニアと比べると強度面で劣るため、強い衝撃がかかると欠けたり割れることがある
 
④フルジルコニア(クラウン全体がジルコニアでできたかぶせ物)

費用:1本あたり約3万5千~8万円前後

硬さ: 1,200Mpa

 

(ステインなしの場合)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★ ★★★★★ ★★★★

 

(ステインありの場合)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★★★★ ★★★★

 

フルジルコニアとはかぶせ物全体がすべて人工ダイヤモンドのジルコニアででできているセラミッククラウンです。

クラウンすべてがジルコニア製で非常に強度が高く、耐久性に優れているのが特徴です。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方に特に適しています。

また、強度があるためほかのセラミックよりもかぶせ物を薄く作ることができ、歯を削る量が少なくて済みます。

しかし、丈夫さはあるものの、白い単色のジルコニアを削り出して作ることから色調再現性にとぼしく、仕上がりの見た目が不自然に白っぽくなってしまう、というデメリットがあります。

このため、適用は主に目立ちにくい奥歯となります。

なお、フルジルコニアには着色されたステインありのクラウンも存在しており、こちらは通常のフルジルコニアよりも多少自然な歯の見た目に近づけることができますが、オールセラミックやジルコニアオールセラミック、e.maxと比べるとやはり審美面で劣ります。

○メリット

・土台と外側部分がすべてジルコニアでできており、非常に強度が高く耐久性に優れている(欠けや割れを起こしにくい)

・ほかのセラミックよりも歯を削る量が少ない

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・レジンのような変色・劣化を起こしにくい

・金属の溶けだしによる歯ぐきの黒ずみを起こさない

・非金属のため、金属アレルギーの心配がない

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・白い単色の素材を削り出すため透明感に劣る

・色調再現性に劣るため(白っぽく見える)、前歯には適さず主に奥歯への使用となる

・天然の歯よりも硬く、かみ合わせ部分の歯を痛めることがある

⑤メタルボンド(金属(合金)+ポーセレン)

費用:1本あたり約8~12万円前後

硬さ:金属土台 1,200Mpa、ポーセレン 50~100Mpa

 

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★★★ ★★

 

メタルボンドとは、金属(合金)でできた土台部分に陶器のポーセレンを焼きつけてあるセラミッククラウンです。

土台が金属で耐久性が高く、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方に適しています。(外側のポーセレンは欠けたり割れることがあります)

色調再現性の高いポーセレンをクラウンの外側に用いており、天然の歯に近い自然な見た目を実現できます。

しかし、金属が使用されていることから歯や歯ぐきの黒ずみをひきおこしやすく、金属アレルギーを発症するおそれがあります。

○メリット

・色調再現性が高く、自然の歯に近い見た目を実現できる

・土台が金属のため硬く強度があり、耐久性に優れている(ただし、外側のポーセレン部分は強い衝撃がかかると欠けたり割れることがある)

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・レジンのような変色・劣化を起こしにくい

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・土台が金属のため光の当たり具合によっては中の金属が透けて黒く見えることがある

・土台が金属でできているため金属アレルギーを起こすことがある

・土台から溶けだした金属イオンによって歯や歯ぐきが黒ずむことがある

・歯ぐきが下がってくるとかぶせ物の境目の部分が露出してしまい黒く見えることがある

セラミックインレーとは?

◎セラミック製の詰め物を使って行う治療のことです

セラミックインレーとは、すべてもしくは一部が陶器でできたセラミック製の詰め物のことです。

銀歯と異なり非金属のため、金属アレルギーを起こす心配がありません。

セラミッククラウンと同様に保険適用外で治療にかかる費用は自費となります。

セラミックインレーにはすべての素材が陶器でできている「フルジルコニアインレー(ステインなし・ステインありの2種類)」と「e.maxインレー」のほか、プラスチック樹脂のレジンとセラミックを混ぜた素材で作られた「ハイブリッドセラミックインレー」があり、この3種類が代表的なものとして挙げられます。

[セラミックインレーの種類]

①フルジルコニアインレー(すべての素材がジルコニアでできた詰め物)(ステインなし・ステインあり)

費用:1本あたり約5万円前後

硬さ: 1,200Mpa

 

(ステインなしの場合)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★ ★★★★★ ★★★★

 

(ステインありの場合)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★★★★ ★★★★

 

すべての素材が人工ダイヤモンドのジルコニアでできた詰め物です。

ステインなしとステインありの2種類があり、ステイン(着色)されたインレーの方が歯の色調再現性が高く、自然な歯の色に近づけることができます。

 

〇メリット

・銀歯のようにぎらぎら光って見えることがない

・非常に強度が高く、割れにくい

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・非金属のため金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・e.maxより見た目の自然さは劣る(詰め物が少し白っぽく見える)

・天然の歯よりも硬く、詰め物が大きい場合にはかみ合わせ部分の歯を痛めることがある

 

②e.maxインレー(e.maxでできた詰め物)

費用:1本あたり約4万円前後

硬さ: 360~400Mpa

 

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★★★ ★★★★ ★★★★★

 

しなやかさを持つe.max(二ケイ酸リチウムガラス)でできた詰め物です。

ジルコニアと比べると耐久性には劣りますが、透明感があり天然の歯に近い自然さを再現できます。

 

〇メリット

・自然な歯の白さを再現できる

・銀歯のようにぎらぎら光って見えることがない

・銀歯よりも汚れや歯垢がつきにく、ほとんど変色しない

・非金属のため金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・ジルコニアと比べると耐久性に劣り、歯ぎしりや食いしばりなどが原因で欠けたり割れることがある

 

③ハイブリッドセラミックインレー(レジンにセラミックを混ぜた詰め物)

費用:1本あたり約1万5千~3万円前後

硬さ: 100~200Mpa

 

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★★ ★★★★

 

歯科用プラスチック樹脂のレジンにセラミックを混ぜて作られた詰め物です。

レジンを元にした混合素材のため素材にしなやかさがあります。

ほかのものと同様、保険は適用できず自費診療になりますが、セラミックインレーの中ではもっとも安価に治療を受けられるメリットがあります。

 

〇メリット

・ほかのセラミックインレーよりも比較的安価に治療を受けることができる

・レジンだけの詰め物よりも水分の吸収率が低く、摩耗が少ない

・銀歯のようにぎらぎら光って見えることがない

・非金属のため金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・保険が効かず、原則として治療はすべて自費診療となる

・ジルコニアやe.maxと比べると耐久性に劣り、歯ぎしりや食いしばりなどが原因で欠けたり割れることがある

・レジンより変色しにくいものの、長年の使用で若干の変色が起きる

セラミックとインプラントの違いは?

◎歯根が残っているか残っていないかの違い

セラミックとインプラントの違いは、セラミックは歯根が残っている歯に治療を行うのに対し、インプラントは歯(歯と歯根)がない箇所に人工の歯根を手術で埋め込む、という点です。

セラミック治療は既存の銀歯の詰め物やかぶせ物を白くしたい場合や前歯の軽度な歯並びの乱れを直したいときに適しています。

インプラントはむし歯や歯周病、不慮の事故、加齢などが原因で歯を失ってしまった場合、入れ歯やブリッジに代わる安定性の高い義歯を入れたいときに適しています。

 

歯の根が残っているケースではセラミック、すでに歯を失っている場合にはインプラント、いうようにそれぞれのケースに応じて治療方法を選択することをおすすめします。

セラミック 保険の適用は?

◎保険適用外のため、自由診療となります
セラミック治療は審美目的となるため、保険は適用されません。

原則として、治療にかかる費用はすべて自費(自由診療)となります。

保険が適用されない理由は、日本では「人として健康的な生活を送ることができる“必要最低限の治療”」にのみ保険を適用することを法律で定めているからです。

このため、セラミックなどの美しさを求める審美治療は「必要最低限の治療」に該当せず、保険適用外となります。

  • 銀歯は保険が効く?

◎むし歯治療の素材として一般的

銀歯はセラミックとは異なり審美目的ではないため、保険を適用して治療を受けることができます。

銀歯はむし歯治療の際に用いる詰め物・かぶせ物の素材として一般的です。

正式名称を「金銀パラジウム合金」と呼び、金が12%、パラジウムが20%とJIS規格で定められているほか、主成分の銀が約50%前後、銅が20%前後、そのほかインジウムなどの金属が数%含まれています。

このうち、金とパラジウム以外の金属は各メーカーによって含有率が異なります。銀歯、と名前がつくのに金が入っていることにおどろかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

◎メリットもある銀歯

 

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★★★

 

銀歯は金属のため、詰め物やかぶせ物が口の中でぎらぎら光って見えるなど、審美面ではセラミックやレジンに劣ります。

しかし、金属製であることから非常に強度が高く(人工ダイヤモンドのジルコニアと同程度の1,200Mpaの強度を持つ)、通常の使用で割れたり欠けることはまずありません。

治療後の見た目が悪く、金属アレルギーがある方には適さない銀歯ですが、耐久性の良さや保険が適用できる点など、メリットもあります。

 

〇銀歯のメリット

・保険を適用でき、比較的安価に治療を受けられる(詰め物:約2,000円前後、かぶせ物:約3,000円前後)

・金属のため強度が高く、欠けたり割れることはまずない

 

  • 銀歯のデメリット

・ぎらぎら光って見た目が悪い

・長年の使用で銀歯そのものが黒ずんでくる

・使い続けていると金属イオンが溶けだし、歯や歯ぐきが黒ずんでくる

・溶けだした金属イオンによって歯ぐきが下がってしまうことがある(歯ぐきの退縮)

・硬い素材のため、治療のときに詰め物やかぶせ物の高さが合っていないとかみ合わせ部分の歯を痛めてしまうことがある

・詰め物を入れる場合、レジンよりも歯を削る量が多くなる

・金属アレルギーを起こすおそれがある

保険で歯を白くできる詰め物・かぶせ物の治療について

◎保険を適用して白い素材を使った治療を受けることができます

 

上の項で「審美目的の場合、保険は適用されない」とお伝えしましたが、審美、とは行かないまでも、保険を適用して歯を白くする治療もあります。

 

保険を適用して受けられる「白い素材を使った治療」には以下の4種類があります。

下記の費用はすべて保険適用時、3割負担の場合の金額です。

 

①コンポジットレジン(レジンの詰め物)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★ ★★

 

白いプラスチック樹脂のレジンを使う詰め物の治療です。

詰め物の穴が小さい場合や金属アレルギーの方に適しています。

治療にかかる費用は歯1本につき約1,000~1,500円程度となります。

〇メリット

・保険を適用でき、比較的安く治療が受けられる

・銀歯のようにぎらぎら光らない

・銀歯やセラミックのように型取りをする必要がなく、削った直後に詰め物を入れることができる(1回の処置で済む)

・銀歯やセラミックの詰め物よりも歯を削る量が少なくて済む

・非金属のため、金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・水分を吸収しやすく変色(黄ばみ)や劣化が起きる

・摩耗しやすい(歯磨きの刺激でも少しずつすり減ってしまう)

・プラスチックのため、歯が浮いているような不自然な白さになる

・汚れや歯垢がつきやすく、セラミックよりもむし歯や歯周病になりやすい

②硬質レジン前装冠(合金+レジンのかぶせ物)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★ ★★★ ★★

 

金属製の土台(内側部分)に硬質レジンという硬めのプラスチック樹脂を貼り付けてあるかぶせ物です。

外から見える表側(前側)だけ硬質レジンを貼り付けてあり、裏側(舌側)は銀色の金属が見える状態になっています。

治療にかかる費用は歯1本につき約7,000~9,000円となります。

 

真ん中の前歯から数えて3番目までの歯(中切歯、側切歯、犬歯)を治療する場合にのみ、保険が適用されます。

 

金属製のクラウンで強度が高く、比較的安価な費用で白いかぶせ物の治療を受けられるメリットがあります。

ただし、裏側が銀色のため審美性の面では自費のセラミックに劣るほか、長年の使用でレジンが変色したりすり減るなど、デメリットもあります。

〇メリット

・保険を適用でき、比較的安く治療が受けられる

・銀歯のようにぎらぎら光らない

・土台が金属のため耐久性がある(ただし外側のレジンは硬いものをかんだり歯ぎしりや食いしばりなど強い負荷がかかると欠けたり割れることがある)

  • デメリット

・保険診療は前歯のみとなり、奥歯には保険を適用できない

・外側のレジン部分は水分を吸収しやすく変色(黄ばみ)や劣化が起きる

・摩耗しやすい(歯磨きの刺激でも少しずつすり減ってしまう)

・プラスチックのため、歯が浮いているような不自然な白さになる

・汚れや歯垢がつきやすく、セラミックよりもむし歯や歯周病になりやすい

・裏側が金属のため、角度によっては歯の裏がぎらぎら光って見えてしまう

・金属製の土台のため、金属アレルギーを起こすおそれがある

③硬質レジンジャケット冠(レジンのかぶせ物)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★ ★★

 

クラウン全体が硬質レジンでできているかぶせ物です。

硬質レジン前装冠とは異なり、非金属製のため金属アレルギーを起こす心配がありません。

治療にかかる費用は歯1本につき約8,000~9,000円となります。

前歯にあたる中切歯、側切歯、犬歯のほか、前歯と奥歯のあいだにある第一小臼歯に限り、保険を適用して治療を受けることができます。

〇メリット

・保険を適用でき、比較的安く治療が受けられる

・銀歯のようにぎらぎら光らない

・非金属のため、金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・保険診療は前歯と第一小臼歯のみとなり、第二小臼歯と大臼歯には保険を適用できない

・レジンでできているため水分を吸収しやすく、変色(黄ばみ)や劣化が起きる

・摩耗しやすい(歯磨きの刺激でも少しずつすり減ってしまう)

・硬いものをかんだり、歯ぎしりや食いしばりなど強い負荷がかかると欠けたり割れることがある

・歯が浮いているような不自然な白さになる

・汚れや歯垢がつきやすく、セラミックよりもむし歯や歯周病になりやすい
 
④CAD/CAMハイブリッドセラミックレジン冠(レジンにセラミックを混ぜたかぶせ物)

見た目の良さ(自然さ) 耐久性 身体へのやさしさ
★★★ ★★★ ★★★

レジン樹脂にセラミックの粉末を混ぜて作られたかぶせ物です。

セラミックをミックスした素材でレジンよりも割れにくく、非金属製のため金属アレルギーを起こす心配もありません。

見た目もレジンより自然な白さを再現できますが、すべてが陶器のオールセラミックと比べると審美面では劣ります。

治療にかかる費用は歯1本につき約8,000~9,000円となります。

ハイブリッドセラミックレジン冠は第一小臼歯と第二小臼歯にのみ保険を適用して治療を行うことができます。

また、保険を適用するにはハイブリッドセラミックレジン冠を製作可能なCAD/CAM装置が歯科医院の院内に設置されていることが必須条件となります。

〇メリット

・保険を適用でき、比較的安く治療が受けられる

・硬質レジンジャケット冠よりも自然な歯の色に近づけることができる(ただしオールセラミックと比べると審美性に劣る)

・セラミックを混ぜているため、レジン単体よりも割れにくい(硬いものをかんだり歯ぎしりや食いしばりなど強い負荷がかかれば欠けたり割れることがある)

・銀歯のようにぎらぎら光らない

・非金属のため、金属アレルギーを起こさない

 

  • デメリット

・保険診療は第一小臼歯と第二小臼歯のみとなり、それ以外の歯には保険を適用できない

・保険を適用するにはCAD/CAM装置がある歯科医院で治療を受けることが前提となる

・レジン単体のものより摩耗しにくいが、長年の使用で変色や劣化が起こる

・硬いものをかんだり、歯ぎしりや食いしばりなど強い負荷がかかると欠けたり割れることがある

・オールセラミックと比べると審美性に劣る

・汚れや歯垢がつきやすく、オールセラミックよりもむし歯や歯周病になりやすい

セラミックにした場合の医療控除は?

◎セラミック治療は審美目的のため医療費控除は受けられません

日本には「医療費控除」という制度があります。

これは、1年間にかかった医療費の合計が10万円以上になると控除(こうじょ:医療費にかかる税金を計算し直して少なくすること)が受けられる制度です。

医療費控除は歯科治療にももちろん適用可能です。

しかし、セラミックは審美目的となるため、法律の規定により医療費控除の対象にはなりません。
 

セラミックの安全性は?

◎セラミックは身体にやさしい素材です

セラミックは生体親和性(人間の身体へのなじみやすさ)が高く、身体にやさしい素材です。

安全性と親和性の高いセラミックは人工関節に使われるなど、医療分野では幅広く応用されています。

セラミックは陶器であり、いわば湯呑やお茶碗などの瀬戸物と同じ分類です。

陶器は人間の生活において古くから使われている身近な食器であり、汚れがつきにくいのが特徴です。

お茶碗に汚れがついても水で洗えばすぐに落ちることをイメージしていただけると分かりやすいです。

 

瀬戸物と同様、歯科治療で用いるセラミックは表面がつるつるとしておりデコボコが少なく、汚れや歯垢がつきにくく変色しにくいという特性を持っています。

また、セラミックの詰め物やかぶせ物は表面がなめらかで清掃しやすいため治療後の歯を清潔に保ちやすく、むし歯や歯周病になりにくいのがメリットです。

その点でもセラミックは身体にやさしい素材と言えます。

. セラミックによるアレルギーは?

◎セラミックでアレルギーを起こす心配はありません

保険診療で用いる銀歯は金属アレルギーを起こす原因になります。

しかし、非金属のセラミックであれば金属アレルギーを起こす心配はありません。

このため、銀歯にしたことで金属アレルギーを発症した場合には、アレルギーを起こすおそれがないセラミックもしくはレジンを使った素材に詰め物やかぶせ物を変えることをおすすめします。

セラミックでの痛みはある?

 

◎かんだときや熱いものがふれると痛むことがあります

セラミック治療を行ったあと、詰め物やかぶせ物をした歯で食べ物をかんだり、熱いものがふれると痛みを感じることがあります。

セラミック治療後に痛みがでるケースでは、以下のようなことが原因として挙げられます。

[セラミック治療後に歯が痛む原因]

①治療時の刺激で神経が過敏になっている

セラミック治療では詰め物やかぶせ物を装着する際に専用の器具を使って歯を削ります。

このとき、神経が刺激を受けて過敏になってしまうことがあります。

歯を削ったあとは外部と歯の神経との距離が近くなり、治療前よりも外からの刺激が歯の内部に伝わりやすくなります。

これが、歯の治療後に食べ物をかんだり熱いものがふれると痛みを感じる主な理由です。

ただし、この治療後の痛みは歯の内部に「第二象牙質」という組織ができあがることで解消されます。第二象牙質とは象牙質の中で成長する歯の組織です。

歯を削ったあとは、神経を守るため、象牙質の中の歯髄(しずい:神経が通う歯の中心部分)を取り囲むようにして第二象牙質が作られます。

第二象牙質が歯髄をおおうようにできあがると、治療後の痛みは少しずつ緩和されます。

第二象牙質ができあがり痛みを感じなくなるまでの期間は患者さんによって異なりますが、おおよそ治療後から1~2週間、人によっては1年以上かかるなど、個人差があります。
 
②詰め物やかぶせ物の高さが合っていない

セラミック治療時に詰め物やかぶせ物の高さが合っていないと、かみ合わせに微妙な狂いが生じて痛みを感じることがあります。

この場合は詰め物やかぶせ物を削って高さを調整することで痛みを解消できます。
 
③むし歯や歯周病により歯の神経がおかされている

かつて治療を受けた歯の神経がむし歯や歯周病によって細菌におかされている場合、セラミック治療後に痛みを感じることがあります。

この場合は検査を受けた上で歯の神経を抜く、根管治療を行うなど再治療が必要となります。

[セラミック治療後の痛みを緩和する対処法について]

①歯の神経が過敏になっている場合

治療時の刺激によって歯の神経が過敏になり痛む場合には、時が経つのを待って痛みがなくなるかどうか様子を見ます。

このとき、どうしても痛みが我慢できないようであれば治療を受けたクリニックで痛みがあることを歯科医師に伝えてください。鎮痛剤を処方してもらえます。
 
②むし歯や歯周病が原因で痛む場合

セラミック治療をした歯がむし歯や歯周病におかされ痛みがでているケースでは歯髄炎を発症していることもあり、放置するとさらに症状が悪化するため、危険です。

この場合はただちに検査を受け、根管治療で歯の根を綺麗にお掃除するなど、早急な処置が必要となります。

根管治療が成功すれば歯の痛みは解消・緩和されます。

※ 歯髄炎:歯の中にある「歯髄(歯の神経)」が起こす炎症です。主にむし歯が原因で発症します。

また、セラミック治療をした歯が歯周病におかされているケースでは歯ぐきなどの周辺組織が細菌に感染することによって炎症を起こし、痛みを感じる場合もあります。

この場合には抗生物質を飲むことで対処を行います。
 
③むし歯や歯周病以外で歯の痛みが長引く場合

セラミック治療後、むし歯や歯周病にかかっていないのに歯が痛む場合には、歯を包んでいる歯根膜という組織が炎症を起こしている可能性があります。この、歯根膜が炎症を起こした状態を「歯根膜炎」と呼びます。

歯根膜炎は時が経てば解消されることが多いのですが、痛みを感じなくなるまでの期間は1~2週間で済む場合もあれば、人によっては数年以上慢性的な痛みが続くケースもあります。

このため、治療後の痛みがどうしても長引く場合には歯の神経を抜く抜髄を行うなど、神経の痛みを根本から無くす処置で対処することもあります。

セラミックの治療でおきる可能性があるものは?

◎セラミック治療でトラブルが起きたときの対処法

歯科で使用するセラミックは安全性と生体親和性が高く、優れた治療法のひとつです。

しかし、どんな物事にも100%完璧、ということがないのと同様、セラミック治療においてもトラブルが発生することはあります。

セラミック治療が原因となって起こる不具合には以下のようなものがあります。
 

 セラミックがかけた場合は?

◎保証期間内であれば無料で作り直すことができます

人工ダイヤモンドのジルコニアは強度が高く欠けや割れをひきおこすことはほとんどありません。

しかし、そのほかのセラミックは硬いものをかんだり歯ぎしりや食いしばりが原因で欠けたり割れることがあります。

もし、セラミック治療後に詰め物やかぶせ物が欠けたり割れてしまった場合には、保証期間内であれば無料で新しいものに作り直してもらえます

保証期間の長さは歯科医院によって異なりますが、おおむね治療後1~3年程度を保証期間として設定しているクリニックが多いです。
 

セラミックがあたったり、違和感がある場合は?

◎詰め物やかぶせ物を削って高さの調整をします

セラミック治療後、詰め物やかぶせ物がかみ合わせ部分の歯に強く当たるような感覚があったり、違和感がでることがあります。

このような場合は、詰め物やかぶせ物が歯の高さと合っていないことが多いです。

もし、治療後に違和感が取れない場合には治療を受けた歯科医院になるべく早めに相談しましょう。

不具合を確認した上で再調整を行い、詰め物やかぶせ物を削って高さを合わせてくれます。

なお、治療後に詰め物やかぶせ物をした歯の根元近くが痛む場合には根管治療の失敗による細菌感染などが疑われます。

歯の根っこのあたりが痛むときにはただちに歯科医院で診察を受けるようにしてください。
 

セラミックって味がある?

◎接着剤や咬合病が原因で味を感じることがあります

セラミック治療後に口の中に変な味を感じることがあります。

口の中に味を感じる理由としては、セラミックの詰め物やかぶせ物を取り付けるときに用いた接着剤の取り残しが原因となり、薬品のような臭いや味が残ってしまうケースが代表的なものとして挙げられます。

この場合、取り残した接着剤を歯科医院で綺麗に除去することで臭いや味は解消されます。

また、セラミックの詰め物やかぶせ物の高さが合わず、かみ合わせに異常がでることで咬合病(こうごうびょう)と言う病気を発症するケースもあります。

咬合病はかみ合わせの乱れから起こる病気であり、骨格がゆがんだり自律神経に不調をきたすなど、さまざまな症状が現れるのが特徴です。

セラミック治療後に咬合病を発症した場合、自律神経に異常が起こり、唾液の分泌が減少して味覚に異常を感じることがあります。

もし、そのような症状がでた場合には詰め物やかぶせ物の高さを削ってかみ合わせを調整する、もしくは歯全体の矯正を行うなど、かみ合わせを正常な位置に戻すことで症状の改善を図っていきます。

セラミックにした後、膿がでた場合は?

◎根管治療のやり直しで対処します

セラミックのかぶせ物をしたあと、治療をした歯から膿がでることがあります。

これは、歯の神経を抜いて根管治療をしたものの、根っこの中に細菌が侵入してしまい、根の先に膿がたまることによってひきおこされる症状のひとつです。これを「根尖病巣(こんせんびょうそう)」と呼びます。

根尖病巣を発症した場合には必要に応じて歯ぐきを切開し内部にたまった膿をだすほか、根管治療をやり直して根管内部に細菌を繁殖させないようクリーンな状態にするなど、歯の根を綺麗にするお掃除で対処を行います。
 

セラミック治療で自然な白さの美しい歯を手に入れる

セラミック治療についてご説明をさせていただきました。

今回の内容をまとめると、

〇セラミックは安全性と生体親和性が高く、身体にやさしい素材でできている

〇ホワイトニングで歯を白くできない場合でもセラミックなら歯を白くすることが可能

〇前歯の軽度な歯並びの乱れであればセラミッククラウンを使って矯正できる

〇非金属のセラミックは金属アレルギーを起こす心配がない

〇セラミックは汚れや歯垢がつきにくく、むし歯や歯周病になりにくい

となります。

ただし、セラミックには以下のようなデメリットも存在しています。

  • 保険適用外となり、治療にかかる費用は自費になる
  • 強い衝撃(硬いものをかむ)や歯ぎしり、食いしばりによって欠けたり割れることがある(人工ダイヤモンドのジルコニアであれば欠けたり割れることはほとんどない)
  • セラミックでも金属が使われている詰め物やかぶせ物は金属アレルギーをひきおこすおそれがある
  • ジルコニアなど、硬すぎる素材の場合、かみ合わせ部分の歯を痛めることがある

(かみ合わせの調整によって歯にかかる負担を軽減することも可能)

セラミック治療は自然な白さの美しい歯を再現できる優れた治療法です。

日本では、
「銀歯や歯の汚れがコンプレックスとなり人前で大きく口を開けて笑えない」
「ついつい口元を手で隠してしまう」
など、ぎらぎら光る銀歯や銀歯が原因の金属アレルギーでお困りの方は少なくありません。

もし、歯の見た目の悪さで悩んでいる、もしくは、ホワイトニングで歯を白くできない場合には、ぜひ、セラミック治療をご検討されることをおすすめします。

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